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【第6回日本和文化グランプリ】「簗田寺薪能」がプロデュース部門に入選しました

【第6回日本和文化グランプリ】「簗田寺薪能」がプロデュース部門に入選しました

このたび、千夜賀風が企画・主催した「簗田寺りょうでんじ薪能たきぎのう」が、第6回日本和文化グランプリのプロデュース部門に入選いたしました。
日本和文化グランプリは、一般社団法人日本和文化振興プロジェクトが主催する、日本が誇る優れた和文化の作品(プロダクト)や活動・プロデュースを顕彰するものです。
第6回のテーマは「伝統と未来」。
プロデュース部門では、和文化振興のための企画・支援・プロデュース活動を対象に、日本文化の発展や次世代への継承に向けた取り組みが審査されています。

第6回 日本和文化グランプリ 審査委員長総評より

第6回日本和文化グランプリ全体への総評として、審査委員長の三田村有純氏(日本藝術院会員・東京藝術大学名誉教授)は、応募作品について、「出品する方の意識が高く、それぞれが紡ぎ出す和の文化への想いはまさに哲学である。」と述べています。

一次審査・二次審査ともに作者名などの個人情報を伏せて選考が行われ、審査員による討論を経て絞り込みが行われました。

今回、「簗田寺薪能」が第6回日本和文化グランプリのプロデュース部門に入選したことを、大変嬉しく受け止めております。
簗田寺の皆様をはじめ、出演・演奏に携わってくださった皆様、協賛・後援をいただいた皆様、そして当日の運営を支えてくださった皆様に、あらためて心より御礼申し上げます。

子どもたちへ、日本の伝統文化の「原体験」を

「簗田寺薪能」は、2024年5月17日、東京都町田市の古刹・簗田寺にて開催しました。
千夜賀風がこの薪能で大切にしたのは、能を鑑賞するだけでなく、その場の空気や音、香り、装束、寺院という空間まで含めて、日本文化を身体と五感で受け取ってもらうことでした。
文化を知識として学ぶより前に、その気配に触れる。美しさに心を動かされる。そして、言葉では説明できなくても、心のどこかに残る。そんな日本文化の「原体験」を、次の世代を担う子どもたちへ届けることを目指しました。
現代では、能や伝統芸能に触れようと思えば、都心の能楽堂や専門施設へ足を運ぶことが一般的です。
能楽公演によっては、未就学児の入場が制限されることもあります。
だからこそ、子どもたちが文化を見に行くのではなく、文化の方が子どもたちの暮らす地域へやって来る。都心の能楽堂で演じられる能を地域の寺院へ届け、暮らしの中にある身近な文化として体験してもらう。そんな機会をつくりたいと私たちは考えました。
当日は、能「敦盛」をはじめ、箏・尺八の演奏、子どもたちを対象とした箏の体験、お香による空間演出など、さまざまな日本文化を、簗田寺という場で一つの文化空間として構成しました。

篝火に照らされた簗田寺薪能の能舞台と観客
篝火のもと、簗田寺の境内に広がる薪能の風景

また、箏を学ぶ中高生が、さらに小さな子どもたちへ箏を伝える時間も設けました。少し年上の世代が、次の世代へ文化を手渡す。受け取った子どもたちが、いつかまた未来の誰かへ手渡していく。そうした世代を超えた小さな連鎖が、地域の中で自然に生まれていくことも、簗田寺薪能で大切にしたことの一つです。

そして、舞台にいちばん近い席は、子どもたちの席としました。
舞台から約1メートルの最前列で、能楽師の息遣い、足運び、装束の動き、笛や鼓の音、そして夕闇の中に揺れる篝火を、目の前で感じてもらいました。

簗田寺薪能で舞台最前列から能を鑑賞する子どもたち
舞台から約1メートルの最前列で能を見つめる子どもたち ― 簗田寺薪能

さらに、篝火の火入れは、一人の子どもに託しました。
子どもたちをただ能を見る観客として迎えるだけではなく、日本文化の灯火を未来へ手渡していく担い手として、その場に参加してもらいたいという願いを込めたものです。
能の意味を、その場ですべて理解する必要はないと私たちは考えています。
篝火の揺らぎを見つめ、笛や鼓の音を身体で感じる。
「何だったのかはまだよく分からないけれど、忘れられない」。
そんな記憶こそが、いつの日か日本文化へもう一度目を向けるきっかけになると考えています。
たった一人でもいい。
一人の子どもに日本文化の原体験を届けることができれば、その記憶は、将来の日本の大きな財産になると私たちは信じています。
その子が大人になったとき、篝火の熱や能の静けさを思い出し、日本文化の素晴らしさを誰かに語ってくれるかもしれない。
そして、その子自身が、さらに次の世代へ文化を手渡す担い手になってくれるかもしれません。
一人の記憶に灯った小さな火が、やがて次の誰かを照らしていく。
その連なりこそが、日本文化を未来へつなぐ力になると考えています。

旧きに倣い、今に還る。

千夜賀風は、「旧きに倣い、今に還る。」を理念として掲げ、日本の伝統文化を、現代に生きる私たちが実際に触れ、感じることのできる形へとつなぎ直す活動を続けています。
伝統とは、過去に置かれたものではなく、誰かが受け取り、次の誰かへ手渡すことで続いていくものだと考えています。
かつて、能、茶、香、居合・日本刀をはじめとする日本文化は、それぞれが切り離されたものではなく、同じ時代、同じ場所の中に息づいていました。
千夜賀風では、その土地や建物に残る歴史や物語に耳を傾け、それぞれの分野に受け継がれてきた日本文化を、もう一度ひとつの風景としてつなぎ直すことを大切にしています。
その考えを具体的な形にした一つが、簗田寺薪能の開演に先立って行った、日本刀による「四方祓の儀」です。場を整え、その後の薪能へとつなぎました。

簗田寺薪能の開演に先立ち行われた四方祓の儀
薪能の開演に先立ち行われた「四方祓の儀」

簗田寺は「四神相応の地」と伝わります。四方祓の儀では、その土地の物語にちなみ、東西南北それぞれの方角を日本刀によって清め、薪能が始まる前に場を整えました。

簗田寺薪能の四方祓の儀で日本刀を振るう様子
日本刀によって場を清め整える「四方祓の儀」

日本刀の所作から始まり、整えられた場へ能がつながっていく。異なる分野として受け継がれてきた日本文化を、その土地の歴史や物語を起点に、ひとつの流れとして結び直しました。

簗田寺薪能で行われた四方祓の儀
簗田寺の歴史と薪能をつなぐ「四方祓の儀」

簗田寺薪能は、能、箏、尺八、香、居合・日本刀、寺院、地域、そして子どもたちを、同じ篝火のもとにつないだ一つの実践でした。
千夜賀風はこれからも、その土地に残る歴史や物語をひもとき、寺社や文化の担い手、地域の方々とのつながりを大切にしながら、その場所ならではのかたちで日本文化をつなぎ直してまいります。
日本文化を「見る」だけではなく、その背景にある歴史、精神性、美意識までを、身体と五感で感じる。
そんな原体験を、未来へ手渡していきたいと考えています。
旧きに倣い、今に還る。

簗田寺薪能について


【開催案内】簗田寺薪能|能・奉納演武・祈りの夕べ

協賛・後援、出演者、プログラムなど、簗田寺薪能の詳細をご紹介しています。


【開催レポート】簗田寺薪能|子どもたちへ、日本の伝統文化の「原体験」を

開催当日の様子と、簗田寺薪能に込めた思いをご紹介しています。