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【簗田寺】YATOの縁日 ― 袴をまとい、日本文化にふれる

【簗田寺】YATOの縁日 ― 袴をまとい、日本文化にふれる

簗田寺で開催された「YATOの縁日」。
千夜賀風では、子どもたちに道着と袴を実際に身につけてもらい、御刀を腰に差してみる日本文化体験を行いました。
今回大切にしたのは、何かを上手にできるようになることではありません。
 まずは、道着に袖を通してみる。
 帯を締めてみる。
 袴をまとってみる。
 そして、御刀を腰に差してみる。
日本文化を知識として学ぶ前に、まず自分の身体で感じてみる。
そんな小さな入口をつくることが、今回のワークショップの目的でした。

袴をまとうと、立ち姿が変わる

普段着の上から道着に袖を通し、まず帯を腰に巻いて、ぎゅっと締めます。
帯が腰を包み、身体の中心が少し定まるような感覚。
そこへ袴を身につけ、前紐を結び、後ろの腰板を背にぴたりと添わせていきます。
着付けを始める前まで、ちょこちょこと動き回っていた子どもたち。
ところが、帯をぎゅっと締め、袴をまとい、最後に御刀を腰に差すと、不思議なことに、それまでとは少し様子が変わります。
背筋がすっと伸び、自然とピシッと立つ。
誰かに「姿勢を正して」と言われたわけではありません。
帯が腰を支え、袴の腰板が背に当たり、そして自分の腰に御刀がある。
その装いそのものが、身体のあり方を少しずつ変えていくように見えました。
普段とは違うものを身につけることで、立ち姿が変わる。
立ち姿が変わることで、気持ちまで少し整っていく。

子どもたちの姿を見ながら、あらためてそんなことを感じました。

千夜賀風 YATOの縁日

「見る文化」から、「まとう文化」へ

日本文化というと、寺社を訪ねたり、美術品を鑑賞したり、歴史を学んだりすることを思い浮かべるかもしれません。
もちろん、それも大切な文化との出会いです。
けれど、文化にはもう一つの触れ方があります。
自分の身体で体験してみることです。
 道着の布の感触。
 帯をぎゅっと締めたときの腰まわりの感覚。
 袴の腰板が背に当たる感覚。
 御刀を腰に差したときの重み。
そして、さっきまでとは少し違って見える、自分自身の立ち姿。
それは、写真を眺めたり、説明を聞いたりするだけでは得られない、日本文化との出会いです。
子どもたちにとっては、
 「着てみたい」
 「刀を差してみたい」
そんな素朴な好奇心から始まっていいのだと思います。
その先に、ほんの少し背筋が伸びる瞬間がある。
それだけでも、文化はぐっと身近なものになります。

簗田寺という場所で

今回の舞台となった簗田寺の堂内には、甲冑や御刀が並び、普段とは少し異なる空間が生まれました。
そのなかで、ひとりずつ道着に袖を通し、帯を締め、袴を身につけていく子どもたち。袴の紐を結び、腰板を整え、最後に御刀を差す。
完成した姿だけを見るのではなく、少しずつ装いが整っていく、その時間そのものも今回の体験の一部でした。
何気なく動き回っていた子どもが、装いが整うにつれて少しずつ静かになり、御刀を差した瞬間、すっと立つ。
そんな変化を目の前で見ると、「着る」という行為そのものにも、日本文化の一端が宿っているように感じます。

千夜賀風 YATOの縁日

旧きに倣い、今に還る

昔の装いを、そのまま懐かしむためではありません。
いまを生きる子どもたちが、自分の身体で一度それを経験してみる。
 袖を通す。
 帯を締める。
 袴をまとう。
 御刀を差す。
ほんの短い時間でも、それまで「見るもの」だった日本文化が、自分自身の感覚へと変わっていきます。
何百年も受け継がれてきた文化が、遠い昔のものではなく、自分の身体の上に現れる。
そして、ほんの少し立ち姿が変わる。
日本文化を「まとう」ことで生まれる、いつもとは少し違う立ち姿。
千夜賀風が掲げる、
「旧きに倣い、今に還る。」
簗田寺「YATOの縁日」での今回の体験も、そんな文化との出会いのひとときとなりました。