観世流能楽師 武田宗典『道成寺』 記念限定品 「携帯お香ケース」 企画・製作
能楽師観世流シテ方の武田宗典先生が、2024年6月23日に「武田宗典之会」で能『道成寺』を上演されることを記念して、千夜賀風は株式会社FLOWerと共同で記念限定品「携帯お香ケース」を企画・製作いたしました。
この『道成寺』は、武田宗典先生が「赤頭(あかがしら)」の小書(能楽の特殊演出)付きで、実に12年ぶりに演じるものです。
世阿弥の流れを汲む二十六世観世宗家観世清和氏やそのご子息の観世三郎太氏、人間国宝の野村万作氏とそのご子息の野村萬斎氏、人間国宝の大倉源次郎氏など、超一流の方々が出演する大舞台です。
『道成寺』では、舞台上に70kgから100kg近くの巨大な釣鐘が大道具として登場するなど、特有の特殊な演出があります。乱拍子や急之舞、鐘入りなど、静から烈しい動への移行や素晴らしいドラマ性が特徴であり、能の真髄が凝縮された最高傑作とも言える演目です。
「能」といえば、観阿弥・世阿弥が大成した世界最古の伝統芸能であり、日本が世界に誇る文化です。現在、能の演目は約240曲ほど伝わっており、そのうち通常上演されるのは約120曲です。その中でも『道成寺』は若手能楽師の「登竜門」とされる特別な曲であり、役者以外は裃を着けて舞台に上がるほど格式が高い演目です。能楽師の「卒業論文」「卒業試験」とも言われ、この曲を演じて初めて一人前の能楽師と認められます。能楽師を志す者は皆、「道成寺」を演じることを目標に修行を積みます。
『道成寺』は演じる機会が非常に少ない演目であり、一生に一度しか演じないことも珍しくありません。
能楽師にとって極めて特別な舞台『道成寺』の記念品の製作を担当させていただけることは、千夜賀風にとって大変光栄であり、心より感謝しております。12年前、武田宗典先生が初めて『道成寺』を上演した際の記念限定品は仕舞扇でした。当時、千夜賀風のメンバーの一人がその仕舞扇を購入しており、これは観世流の特別色を施し、美しい金箔と桜の花びらが舞う姿が特徴で、その優雅さと華やかさが際立つ一品です。
このたびの『道成寺』記念限定品の携帯お香ケースのデザインは株式会社FLOWerのアーティストSara氏が担当しました。お香ケースの表面は黒檀でできており、鱗文様が施されています。道成寺では蛇の鱗型が一つの象徴となっており、その文様が美しく表現されています。また、観世流能楽師シテ方武田家の家紋である梅鉢紋もあしらわれています。鱗文様は、鱗を模した伝統的な日本の文様で、幾何学的な鱗の形を重ね合わせて表現し、規則正しく繰り返されるデザインが特徴です。鱗文様は、着物の襦袢や帯にも使われ、自分の身を守る御守りとして古来から用いられてきました。携帯用のお香ケースとしても、御守りとして心安らぐアイテムとなります。
また、お香の製作は、簗田寺薪能にてお香演出プロデュースを行っていただいた株式会社FLOWerのお香スタイリストKoto氏が、武田宗典先生の好みに合わせて百数種類の香料の中から選定し、ブレンドして手作りで調合制作したお香が使われています。お香は2種類入っています。「日高川(藍鼠色)」と「No.7(栗茶色)」です。
日高川は、香木の中でも最も高価な伽羅を中心にいくつかの香料をブレンドして作られています。悠久な時の流れをイメージした、伝統的な奥ゆかしさと落ち着きのある深く静かな香りとなっています。
No.7は、観世流能楽師 武田宗典氏にインスパイアされた、白檀を基調として沈香、ラベンダーをブレンドしています。シャープでありながら華やかな広がりのある香りとなっています。
この携帯お香ケースが、能『道成寺』の特別な思い出として皆様の心に残り、日々の生活に彩りを添えることを願っています。
2024年6月23日の『道成寺』上演の観世能楽堂(GINZA SIX地下3階)にて当日販売いたします。